Kotone Note 琴音 すみっこ目せん

これ以上。 2023/12/27

皆さんいかがお過ごしでしょうか。
起きがけの冷えがHPを削ってくるこの頃。
ふと小学生の頃、寒冷蕁麻疹になっていた時期のことを思い出しました。
名の通り寒さが原因で出るのですが、普通の蕁麻疹と違い赤くはならず、肌の色のまま歪な形の盛り上がりが沢山できるので謎の不気味さがありました。
しかも盛り上がった部分はブトに噛まれた時のように固く痒くなるので、見た目と地味な動かしにくさが合わさり面倒だったものです。
ある時の冬から急に発生し、ある時の冬から急に出なくなった招かれざる思い出。
寒さとは恐ろしいものです。
琴音です。


先日なんとなくSNSを眺めていたところ、とあるマンガが流れてきました。

学芸会を前に緊張する幼い娘と母との会話を描いたマンガでした。

緊張でずっとソワソワしている娘に対し、「緊張に打ち勝つには努力しかない、もうこれ以上できないと思うだけ練習したら自信になる」と励ます母。

この一コマは、私自身にも覚えがありました。

私も受験シーズンや何か本番の前など、緊張や不安を感じるような瞬間で同じアドバイスをされたことがあったなと思い出したのです。

たしかに、緊張に打ち勝ったり味方にするには事前の努力が欠かせません。

努力、というよりは、自信を持つための根拠が欠かせないと言った方がより的確でしょうか。

そう言われればたしかに、何かの本番前「私はこれだけの事をやってきた」と振り返ることで前向きな気持ちを生み出そうとする人も多いでしょう。

ただ、21歳なりに色々な本番を通ってきた今、このマンガを読んで最初に感じたのは、「もうこれ以上できない」という言葉の投げやりさでした。

これ以上できないってとこまでやりなさいって、なんだかズルくないか?と感じたのです。

どこまでやっても、本当にもうやるだけのことはやったのかと思うことはあります。

やるだけのことをと没頭しすぎるあまり、返って心身を崩してしまう場合もあります。

そもそも「これ以上」って何なのでしょう。

上記のマンガの場合、学芸会のことだけ考えて練習を重ねれば「これ以上」になるのでしょうか。

ろくに睡眠も取らず勉強も登校もせず、食事やトイレ以外の時間を全て費やせば「これ以上できない」なのでしょうか。

時間という単位で見ればクリアできるかもしれませんが、それは現実的なのでしょうか。

私は子供を育てたことはありませんが、少なくとも自分の後輩などが数ヶ月後の本番の為に学校も休んで勉強も睡眠も削ってその練習だけやると言い出したらおそらく止めます。

それこそ緊張に打ち勝つ以前に体調や貴重な時間がふいになってしまうからです。

子供にせよ大人にせよ、その時なりに色々なやるべき事を沢山抱えているのですから、その全てを投げ打ってということ自体いかがなものかと言う話になるのです。

かと言って色々なことをこなしながらとなると、これ以上できないと言うほどやったのか、もしかしたら削れる余白があったのではないのかと不安になるタイミングは必ずやってくるでしょう。

そもそも根も葉もないことを言えば、どれだけ事前に努力しても本番で成功する確証なんてありません。

ましてや自我の確立も未熟な子供からすれば、何をどうすることが「これ以上できない」なのか、どこまでやれば家族に「お前はやり切った」と認められるのか、という疑問が湧くのではないでしょうか。

「これ以上」なんて自分にも他人にも決めきれないものをゴールにしてしまうと、いざ本番になった時(自分はほんとうにこれ以上できないが出来たのか)という自己不信に陥る可能性すらあります。

それでもし本番が上手くいかず「本当にやれるだけやったと言えるのか?」なんて家族に言われた日にはえらいこっちゃです。

そうなっては一時の緊張よりも厄介。

個人的には「これ以上」という得体の知れない青天井に向かうより、自分に目を向けて目安を設けることが大切だと感じます。

あくまで自分の場合は、どういう状態になれば自信が持てるのか、どうすれば楽しくその時を進められるのか。

その為には「最低限」何が必要なのか、という視点もおすすめです。

最低限という土台がある程度できてから、加点式でよりベターになる要素を詰め込んでいけばいいのです。

また緊張というもの自体、決して悪いことばかりな訳ではありません。

勿論怖がって萎縮すれば良くない影響が多いでしょうが、感覚が研ぎ澄まされたり、火事場の馬鹿力的な奇跡を起こす力もあります。

緊張を消すことを目的にするより、緊張の正体や緊張している自分を丸ごと自覚して頑張ろうと思えることが大切だと思うのです。


さて、いかがでしたでしょうか。

皆さんは緊張する機会が訪れた際、どうやって乗り切りますか。

また周りの誰かがそんな機会に直面した時、どんな言葉をかけますか。

十人十色の言葉や思いがある世の中、より温かく伝わりやすい選択をしたいものです。


っはい!!
今回はこの辺で終わります。
ご清覧ありがとうございました!
また来週。