Kotone Note 琴音 すみっこ目せん

私事ですが 2024/04/10

皆さんいかがお過ごしでしょうか。
先日、夕方あたりにふと窓を開けてみると、ふとそよいだ風から夏の夜みたいな匂いがしました。
あのぬるくてもどこか爽やかな、雨の匂いとも違う夏夜の匂い。
最近は夜蒸し暑い日も多いからでしょうか。
桜もまだ咲いている中で気が早いですが、ゆっくりでもちゃんと次の季節に進んでるんだなとホッコリしました。
ただ如何せん、そよ風が吹く度に足の靴擦れがスースーヒリヒリするのが玉にきずです。
ある意味では爽やかなこの頃です。
琴音です。


さてここからは、いつにも増して私的な話になります。

既にこのブログを開いていただいた皆さんには蛇足かもしれませんが、ただただ私の戯言が書き連ねてあります。ご了承ください。



先月の3月末日、父が公務員の仕事を早期退職しました。

就職してから今までの約30年間、小学校の教師として過ごした多忙な日々を卒業し、次の人生を踏み出しました。

理由は、第2の夢を叶えるためです。


1つ目の夢は、アーティストになることでした。

その情熱は強く、教師としての仕事をこなしながらも、デモCDを作ったり路上やライブハウスで演奏したりしていました。

毎夜のように自宅の音楽室にこもり、パイプ式のファイルがパンパンになるほど曲をかいていました。

ですが私や弟が生まれて暫くすると、路上に行くこともステージに立つこともしなくなりました。

子供達に比べればどうでも良くなった、元より仕事にする気はなかったと父は言っていましたが、私はどこかでずっと引っかかっていました。

私は子供を持ったことはありませんが、夢や生きがいは幼い頃から持っていたので、そちらの大切さならよく知っています。

子供に比べれば、なんて言われると想像しきれない部分も多いのだろうとは思いますが、それにしたってアイデンティティの一部とも言える音楽から身を引くのは辛かったはずです。

小学校の教師などという多忙の権化のような仕事につきながらも音楽を続けていたのです。

どうでもいいなんてそんな訳ありません。

どこかでずっと、申し訳ないと思っていました。

そんな中、父がいつからか飲食店に関心を見せ始めました。

料理好きだった父は確かに、昔から私達が「美味しい」というと「じゃあ父ちゃんはシェフになるぞ!」などと冗談まじりに言っていましたが、特に何か行動をとることはなかったのです。

元々家族の前では冗談好きな父だったので、当時はまたその場の雰囲気で言っているんだと思っていました。

それがいつの頃からか、店を出したいとよく話すようになり、夜な夜なパソコンで飲食店の内装や図面を眺めたりするようになりました。

それから父は日々の料理に一層凝り始め、美味しいと言われると「お店出したらメニューにしよう」と言うようになりました。

そんなある日、母が知人友人を招き開いたホームパーティで、父が料理担当になったことがありました。

今までも誕生日会などで友人を呼んだ時は料理を作ってくれていたのですが、その日は少々様子が違いました。

集まった方々はとても優しい方で、口々に料理を褒めちぎってくださいました。

わざわざ父のいるキッチンまで行き、感動を伝えてくださる方もいました。

父はとても嬉しかったようで、結局その日はどれだけ促されようと一度も座らず、夜までずっと料理を作り続けていました。

今思えば、その頃には料理を振る舞うことがとても魅力的に感じていたのだと思います。


そして、それからまた何年もたった去年。

父から仕事をやめて店を出そうかなと聞かされました。

それを聞いた時率直に、純粋に嬉しいと思いました。

きっと世の中からみれば、色々な価値観に触れるのかもしれません。

ですが私と弟に不自由の無い暮らしをさせるため、自分では音楽を辞めておきながら、我が子達には好きなことをやりなと言い続けてくれた父です。

その父が新しい夢を見つけて大きな行動を起こそうとしているなら、誇らしいと思うのが子供心というものです。

そして、それは父を心配しながらも見守ろうとしている母もまた同じです。

観客が1人もいないライブハウスで夢を追っていた私を、全力で支えてくれていた頃と何も変わっていない。

そう思うととても誇らしく感じるのです。


今月の頭ごろ、父の誕生日と退職祝いを兼ねて実家に集まりました。

家族それぞれに色々なものを渡していましたが、私は手紙と腰巻きのエプロンを送りました。

やりたいことをやる、やりたいことを応援するという琴音一家の自由で前向きな姿は、やっぱり私の自慢だなと感じました。


気づけば長く書いてしまいましたが、これを書くことで何が言いたいのかは自分でもよく分かりません。

幾つになっても夢を追っていいと言いたいのかと言われれば間違いではありません。

ですが、私は夢を手放してでも家族のために生きていた今までの父も格好良いと思っていましたから、正解でもありません。

単に自分の家族を自慢したいのかと言われればそうなのかもしれませんが、それだけでもありません。

ただ、これを読むことで何かしら受け取ってもらえれば嬉しいです。

そして今まで応援してくれるばかりだった父を、これからは娘として、別々の道ながら夢に向かう同士として応援できる。

その幸せを噛み締めています。

まだまだ前職から離れたばかりでやることは沢山あるのでしょうが、しっかりお店が出せた時には、また何かで宣伝させてください(笑)

父ちゃんの料理を色んな人に食べてもらえる日が、私も楽しみです。


っはい!!
今回はこの辺で終わります。
ご清覧ありがとうございました!